テレビとコミック■ 佐々木守氏と萩尾望都さん放送作家・脚本家の佐々木守氏は「ウルトラマン」や「奥様は18歳」などのヒットメーカーであり、名作「男どアホウ甲子園」の産みの親でもあります。でも、山中温泉では「CATVの社長で優しいおじちゃん」でした。その、佐々木守氏が他界されてから、やがて1年がたちます。 そういえば、萩尾望都さん原作のコミック「11人いる!」のTV版脚本を手がけたのも佐々木守さんでした。今でこそ、少女マンガも市民権を得ていますが、私が子どものころは「ストーリーも動きもなく、キラキラ目のスタイル画」と私ならずとも、世間からはハナから馬鹿にされていました。ところが、水野英子などの実力派の女流マンガ家が台頭し始め、ついにこの作品にいたります。同級生に勧められて読んだところ、衝撃を覚えました。卓抜な構成、優れた心理描写、独特の緊張感の中でテンポの良く展開するストーリー、しかも、11人のキャラクターが実に生き生きと描き分けられています。 「ポーの一族」などの大作は、竹宮恵子など大物作家が次々デビューするきっかけとなった印象があります。また「トーマの心臓」にあるボーイズラブの世界は、訳が分からないながら、次世代に新しい価値観を植えつけるような予感を持ちました。その後、「腐女子」文化に引き継がれ、「ああ、やっぱり」って感じです。 ただ、TV版「11人いる!」を見た同級生の批評は結構辛口。原作の雰囲気が全然伝わっていない、とのこと。天国の佐々木さん、申し訳ない。でも一度は見てみたいな。
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